障がい者週間

左手のためのピアノ曲という作品があります。ピアノは両手で弾く楽器ですから、左手だけで弾く曲なんてあるの?。作品はそんなには多くありませんが、あります。
両手で弾くピアノにそんな曲が求められるの?。あるんです。必要なのです。ピアノ演奏家が、右手が不自由になった時に演奏するのです。ご存じの通り、ピアノは左手が低音、右がメロディーラインを弾くようになっています。なので、右手が不自由になると、ほとんどの曲が演奏不能になってしまうのです。
右手が不自由になる原因は、いろいろあります。兆候がある場合もありますし、ない場合もあります。朝起きたら、右手が動かないとなったら、楽器を演奏する人にとっては絶望的な事態です。
そして、左手のピアノコンクールというのがあります。一昨年開かれたようです。この様子がテレビで放送されたのを見ました。今年も予定されていたようですが、この禍で中止になったようです。
どの演奏も感動的な演奏で、審査員も審査に困ったと総評を言っていましたが、わたしもそう思いました。ここで一つお断りをしなくてはなりませんが、つい、障がいがあるから、これだけ演奏できるのは、スゴイとかいう気持ちは少しもありませんでした。純粋に感動的な演奏だったのです。もし、そういう気持ちで聞いていたら演奏者に対して失礼だとも思うのです。
ところで、本来両手で演奏する楽器を、左手だけで演奏できる楽器があるのかなと思って調べてみましたら、ありました。バイオリンを左手演奏する方が。これにもびっくりさせられました。
三味線では左手だけで演奏する方はおられるのでしょうか?。わたしは存じません。でもおられたとしても不思議はありません。
まあ、先月のお話しの続きではありませんが、バチさばきで音色が変わる三味線ですから、演奏の難しさは想像を超えるものがありますが、だからこそ新しい演奏表現が出てくるかもしれません。障がいがあるから、諦めることのない社会へ変化していくことのきっかけになるかもしれません。
なにより、健常なわたしたちがより一層の精進をしなくてはならないことを教えてくれているようにも思います。
12月3日からの一週間は、障がい者週間です。