津軽よされ節という民謡があります。
このよされには、「世去れ」という意味があるのだと聞いたことがあります。
江戸時代、天明の飢饉で、津軽地方は壊滅的な打撃を受けます。その犠牲となったのは農民です。その後も、農民の苦悩は続きます。
そんな中からこんなつらい世は去れ、という恨み節とも自虐的ともとれる心境の中から生み出された民謡なのでしょうか。
そんな津軽の人々が熱狂するのが、ねぶた祭です。長い冬のたまりにたまったエネルギーを発散させます。
同じように、三味線の演奏を競う会があります。それこそ寝ずに、三味線を即興で弾き続ける競技会です。よされ節には、恨み節だけではない、内に秘めたエネルギーがあります。ここが演歌とちょっと違うのかな。
即興といえば、ジャズが即興演奏をすることが多いのはご存じの通りです。津軽民謡に通じるものがあるように思います。また、ジャズはアフリカ音楽がベースの一つあり、移民として連れてこられ、苦労を強いられる事が、よされ節にも通ずる所があると思います。
先日亡くなった、長部日出雄の直木賞受賞作、「津軽よされ節」に、この即興演奏の競技会のことが書かれています。それまでは、民謡なんて古くさいと勝手に思い込んでいたのですが、この作品を通して、思いを新たにさせられました。
民謡はジャズのようにソウルフルで、真夏の熱気のようにとっても熱いのです!