新学期の春です。子供の受験も終わり、親としてはほっとする間もなく、新しい学校になじめるかしら、友達は作れるかしら、そして勉強は大丈夫かしらと、心配の種は尽きません。
受験をひかえ、将来の選択肢を少しでも広げるために、勉強はしておいた方がいいよと言って励ましてきました。なので学校の成績も良いに超したことはありません。でも、学校の成績、なんぼのものよと思うこともあります。
なんとか良い成績になるよう、子供は子供なりにがんばっています。自分が学校に行っていたときに、もっと成績がよければとか、勉強しなくても一番になれないものかとか、不真面目なことを考えたりしたことを思い出します。また、小学校の時の先生が、どんなことでもいいから、自分の得意なことで一番になりなさい、と言われたことも思い出されます。
とある会社の社長が、ある日「ウチの商品で世界一になりたい」突然言い出したそうです。側近はびっくりです。その後もしつこく言われ続けました。そこで、どうしたらなれるか皆で知恵を絞ってがんばり、その努力が実って画期的商品を世に送り出し、世界一になれたそうです。
ところが側近の一人が、世界一になれたのはよかったけど、その後どうする?ということに気がついたのです。トップになりたい一心で努力する。幸いにしてトップになったときに、実はそのトップを維持することがより一層の努力を必要とすることを、トップになって初めてわかったと言っていました。
山の頂上を目指して登り続け、頂上に着いた時に見える景色は、想像以上だったという経験はどなたもお持ちだと思います。トップランナーを追いかけているときは、目標が見えていますが、トップランナーになった瞬間、自分との闘いになって追いかけるよりはるかに大変ですよね。
三味線の演奏もそうだと思います。競技会や大会で良い成績を収める。お稽古の教室で一番上手くなる。一番になるといっても、いろいろあります。どのような場所にあっても一番になったら、その一番に甘んじることなく、さらに精進していかなければならないと、思います。トップランナーにはそういう責務があると思うのです。